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2004年7月

2004-07-14

NEARfest2004 雑感

●NEARfestの運営はとてもスムーズです。カリフォルニアのProgFestは平気で二時間遅れでスタートしていましたが、東海岸のNEARfestのスケジュールはほぼオンタイムです。バンドの選択も、リスナー側の趣味丸出しだったProgFestに比べると、シンフォ、レコメン、ポンプ、メタル・プログレ、スペースロック、エレクトロニクス、フュージョン・プログレ、とバラエティーに富んでいて、どんなプログレファンも満足できるような、マーケティングの発想ができています。演奏力が高いバンドが選ばれているのも、質の維持には重要なポイントです。

●そもそも、主催者のロバートはほかのProgDayというフェスティバルのスタッフを経験するという丁稚奉公時代を経てNEARfestを創始しています。ロックだってビジネスなんだから勉強するわけです。こうしてシステマチックに運営されている反面、残念ながらProgFestやBajaProgで感じられるような破天荒jなエネルギーは感じられません。まあ、ビジネスとして安定して続けるためにはいつまでも無茶をやっているわけにはいかないので、仕方ないですが。

●ファンの気質も上品なWASPが多いせいかロスのProgFestやメキシコのBajaProgに比較するとおとなしく、演奏に対するリアクションも控えめです。東京と大阪のお客の違いみたいなもんでしょうか。

●NEARfestはこれまで毎年出演バンドのグレードも上がり(特に2002年のSteve Hakette, Caravan、2003年のCamel, Magma)、会場の規模も拡大してきたのですが、ここにきてスケールアップも一段落したようで、しばらくは現状維持となりそうです。適正な規模が把握できた、というところでしょうか。この点では、まだまだ上昇機運にあるBajaProgのほうが今や格上になってしまいました。ちなみにNEARfest2005の土曜日のヘッドライナーとして既にIQが決定しています。

●NEARfest2004を一言で表現すると、各ジャンルのベストバンドが集まったイベントでした。チェンバーロックNO.1のUnivers Zero、キーボードトリオNO.1のMetamorfosi、メタルフュージョンプログレというあんまりないジャンルのNO.1であるPlanet X、70年代USマイナープログレNO.1のYezda Ulfa、若手スペースロックNO.1のHidra Spacefolk、ザッパ音楽NO.1のMike Keneally Bandなどです。これは予算上の問題から昨年のようなCamel, Magmクラスを呼べなかったために、中堅どころを充実させた結果でしょう。CamelやMagmaは日本でも見ることができるので、個人的には他のバンドが見られて嬉しいのですが、過去二年間に比べると華に欠けることは否めません。

●これまでに日本から参加したバンドは、2002年のGerardだけです。この時は、なかなかウケは良かったです。テクニカルなパワープログレとして受け取られていましたね。主催者はKBBを大分気に入っているようで、2005年の出演はほぼ決まり、といった雰囲気でした。現在のKBBのライブ・パフォーマンスからみて、出演すればBajaProgに続いて大きな反響が得られることは間違いないでしょう。

●ライブ会場に併設してCD即売会場も設けられています。プログレCD専門店が存在せずメールオーダーに頼っているアメリカのファンにとっては、貴重な「CDを見て買えるチャンス」なので、皆熱心にCDを物色しています。ディーラーと出演バンドの出店が主だったところですが、変わったところでは、無名のバンド、ロジャー・ディーンのキャラクターグッズ会社、プログレweb、プログレ雑誌、プログレフェスなどからの出品もあいます。日本からはポセイドンが参加しているのですが、昨年からDisk Unionも中古LPと紙ジャケCDを売っています。ポセイドンCDのファンはコアなファンが多くて、最近はお客の顔を見ただけで買ってもらえそうかどうかわかるようになってきました。

●いつでも誰とでも会える東京と違い、広大なアメリカではフェスティバルがプログレ業界の寄り合いの場みたいになっていて、会期中にはビジネスミーティングがそこここで行われています。このあたりはコンピュータ業界の展示会と一緒ですね。CDレーベルとコンサート開催の両方を運営しているポセイドンにとってはとてもいいビジネスチャンスなので、バンドとの出演交渉、雑誌やweなどへのプロモーション、他レーベルやディストリビューターとの連絡など朝から晩まで埋まったスケジュールをこなしてきました。

●二日間で10バンドも出演すると、全部ガツガツ見なくてもいいや、というお気楽な気分になってきます。というか、朝11時から12時間に渡るスケジュールを全部真剣に見ていたら疲れちゃいます。ということで、****の出演時なんか、知り合いがほぼ全員ロビーにたむろしていて面白かったです。気の合う仲間は趣味も一緒です。もっとも会場内では随分受けていましたけど。

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2004-07-13

NEARfest2004 Day Two

  • 11:00 am-12:00 pm Hidria Spacefolk
  • 1:15 pm-2:35 pm Metamorfosi
  • 2:50 pm-3:20 pm Sean Malone
  • 4:35 pm-5:50 pm Planet X
  • 7:50 pm-9:50 pm Strawbs

●Hidria Spacefolk

フィンランド産スペースロック with トラッドテイスト。無名なんだけど偶然にもCDを聴いていたので、今回のブライテストホープだと予想していましがたが、グループはとっても良くて、凄いウケかたでした。こういう音楽はライブに向いているしね。未知の若くてエキゾチックないいバンドが見つけられるのはフェスティバルの醍醐味です。持ってきた200枚のCDはあっという間に売り切れ、メンバーが会場内にいるとすぐにファンに捕まって歩けなくなる、というKBB@Baja2004と同じ状況でした。日本でROVOと共演すると面白いでしょうね。

●Metamorfosi

ついに世界デビューした古のイタリアンB級へヴィーシンフォバンド。キーボードトリオ+ヴォーカリストによる四人編成。70年代の録音よりも巧くなっていて、今回出演したなかでは一番プログレらしいバンドでしょう。イタリアのお家芸ともいえる、分厚いキーボードと太くて伸びやかなヴォーカルは圧倒的な迫力で、今やイタリアの一流どころと立派に肩を並べELPが創り出した世界の21世紀の継承者はメタモルフォジに決まり、といった感を強く持ちました。旧譜である「地獄」と、新譜の「天国」をフルに演奏して大好評でした。そう、1990年代に再結成されて衰えを感じさせない新譜も出しているバリバリの現役なんです。

●Strawbs

かつてはリック・ウエイクマンが在籍したり、メロトロンが入ったリリカルなアルバムをだしたりとプログレちっくな活動をしていたのですが、今やプログレというよりしわがれ声のフォークです。メンバーは60歳くらいだと思うのですが、とってもパワフルでいい演奏でした。ロンドンのパブの雰囲気でしょうか。ステージにはメロトロンも置いてありましたが、途中退場してビールを飲みに行っちゃったので、どう使ったかはしりません。

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2004-07-12

NEARfest2004 Day One

Saturday, July 10th

  • 11:00 am-12:00 pm Yezda Urfa
  • 1:15 pm-2:45 pm Pallas
  • 3:00 pm-3:30 pm Richard Pinhas
  • 4:45 pm-6:30 pm Mike Keneally Band
  • 8:30 pm-10:30 pm Univers Zero

●Yezda Urfa

こんなバンドが出演するとは!! と驚かれていたのがYezda Urfaです。誰も知らなかった70年代のマイナープログレバンドをSym-Phonicレーベルが発掘してきたときには驚きましたが、まだ現役だとは更にびっくりしました。Gentle GiantとYesをミックスしたようなテクニカルなアンサンブルをキャッチーなメロディーを取り混ぜて演奏していました。再編成後してからのリハーサルが不足しているのか、ギターとベースがいまいち合っていないのが残念でしたが、「見ることができただけでも奇跡みたい」な体験でした。新譜が出ていますが、まだ聴いていません。

●Richard Pinhas

エルドンのリーダーです。ビデオをバックにフリッパートロニクスみたいなギターを聴かせます。淡々とした演奏でエルドンのような破壊力はないのですが、音の発展のさせ方に独特のアプローチがあって飽きさせずに聴かせているのはさすがでした。ビデオを使ったのはピナスの他にはUnivers Zero, Hidra Spacefolkがあり、例年よりも多かったですが、どれもレベルは高かったですね。ちなみにピナスとは、パトリック・ゴーディエ、パガノッティ親子と一緒に来日して、エルドン、ヴェードルジュ、パガ、ゴーディエの曲をやろう、というプランを検討したことがあるのですが、立ち消えになっちゃいましたね。

●Univers Zero

それぞれ楽しめましたが、白眉はやはりトリのUnivers Zeroでした。今回は六人編成です。

  • Daniel Denis.....Drums, percussion, keyboards
  • Michel Berckmans....Bassoon
  • Gregoire Dune....Violin
  • Peter Vanderberghe......Keyboards
  • Eric Plantain.....Bass
  • Kurt Bud・/span>.....Clarinet
  • Phillippe Seynaeve.......Images and video projection

結成30周年記念、初のUSAライブということで気合の入った演奏で名曲の数々を披露しました。もっとも、暗ーいゼロと底抜けに明るいアメリカ人との対比はちょっと異様でしたけど。興味のないライブはパスする人が多いこともあり、途中で10%くらいは帰っちゃいました。

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2004-07-11

NEARfest2004 Pre Day

NEARfest2004に来ています。http://www.nearfest.com/  東海岸のフィアデルフィア近郊です。日本人はディスクユニオンの人が一人と、地元に住んでいる女性が一人、それにフェスティバルの常連である上田夫妻がいるだけです。Pre-Dayは、GenesisのカバーバンドThe Musical Boxが二時間演奏しました。演奏力は並なのですが、ガブリエル役のコスチュームとアクションを見ているだけで楽しめました。会場である1000人収容のホールはすでにプレデーから満員です。

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