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2005年3月

2005-03-23

BajaProg2005 アストゥーリアス

4日目、クライマックスの最終日 このエントリーを含むブックマーク

アストゥーリアス

アストゥーリアスの出番はトップ。いつもは7時スタートだけど、最終日の今日だけは5時スタート。そのためもあってか、アストゥーリアスの演奏が開始された時点では、ホールは3/2くらいの入りで、静かに演奏がスタートした。

最初、観客は戸惑っているように見えた。アストゥーリアスに対する予備知識は、観客の大部分はないはずだ。エレキバンドばかりのフェスティバルでアコースティック編成の静かなライブは予想外だったのだろう。拍手はお座なりではなく観客に気に入られている手応えはあった。かといってラテン特有の熱狂的なものでもなかった。しかし数曲演奏していくうちに、観客がアストゥーリアスに序々にアジャストしてホールの雰囲気は変化していくのが手に取るようにわかった。心に浸みいるメロディー、緩急に富んだ曲構成、一聴すると地味だが実に高度なアンサンブル、卓越したソロ。ホール全体がアストゥーリアスの魅力にゆっくりと飲み込まれていった。CDを聴いたことのあるお客が来場する国内のライブでは得られない経験だった。バンドに対しても、観客からのレスポンスが明らかにいい方向に作用していた。アコースティック編成でのライブでは最高の出来だったのでないだろうか。拍手が曲ごとにだんだんと長くなり、いつしか歓声や口笛が混ざり、最後は満員になった会場が総立ちの感動的なフィナーレだった。

セットリスト

  1. Wataridori
  2. Distance (Bird Eyes View / Cryptgram Illusion)
  3. Adolescencia (Bird Eyes View / Cryptgram Illusion)
  4. Global Network (Bird Eyes View)
  5. Tempters of Providence
  6. Solo   Piano - Clarinet - Violin - Guitar
  7. Bird Eyes View (Bird Eyes View)
  8. Kagerou (composed by Yoshihiro Kawagoe)
  9. Marching Grass on the Hill
  10. Ryu-Hyo (Bird Eyes View / Circle in the Forest)

アストゥーリアス:大山曜(g), 川越好博(pf), 筒井香織(cln), 藤本美樹(vln)

Ken Henslay Band

70年代に結成され現在も活動しているイギリスのハードロックバンド ユーライア・ヒープの元リーダー/キーボード奏者であるケン・ヘンズレーは、現在はケン・ヘンズレー・バンドとして活動している。BajaProgにも出演していて、最終日に「七月の朝」や「スイート・ドリーマー」などの名曲を演奏した。プログレフェスだったので、バラードナンバーを中心に演ったのかもしれないが、これがなんともフェスティバルの雰囲気ににマッチしていて、大喝采を浴びていた。ケンはオルガンを中心に、リード・ヴォーカル、ギターと大活躍。独特の音色とフレーズのオルガンが聴けるだけでも感激ものなのだが、渋いヴォーカルもとっても魅力的だった。

最後のトラッドナンバー"Lady in Black"には、ヴァイオリニストの藤本美樹がゲスト参加して、楽しそうにケンのギターと二人でフロントで弾きまくりオオウケだった。むさいハードロックバンドの演奏が一時間続いて、最後になって黒髪の小柄な日本人女性が出てきてバリバリ弾いて締めるのは、ベテランのケンが即興で考えたステージ構成だったのかもしれない。藤本美樹は見事にその役をこなし、Fantasmagoriaとアストゥーリアスでの出演と合わせて、フェスティバルで一番目立ったプレーヤーだったのは間違いない。

このバンドのベーシストはトラで、ヴァイオリンも弾く正式メンバーが家族の問題で来られなかった。ケンが前日のFantasmagoriaのライブを見て、藤本の起用を思いついたらしい。しかし、ケンのライブは、藤本が出演するアストゥーリアスのライブと同日、というか、その直後にある。技巧者揃いのアストゥーリアスでプレーするだけでも重圧なはずだが、それでもケンのオファーを引き受けて立派にこなしてしまったところが偉い。藤本は本番直前に譜面を渡されて、楽屋でアストゥーリアスの大山曜と練習していた。ベテランの大山から伝授された技も役にたったことだろう。

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2005-03-22

BajaProg2005 Fantasmagoria

3日目、Fantasmagoria登場 このエントリーを含むブックマーク

ホテル会場に出演するFantasmagoriaは、アメリカ人プログレマニアの間での下馬評が高かった。Fantasmagoriaは全く無名で聴いた者など誰一人いないのだが、それがかえって好奇心を呼んだらしい。日本のバンドのレベルが高いのは既に知られているし、しかもわざわざ海を渡ってくるのだ。なんだか凄そうではないか。まだ聴いてない幻の名盤に心をときめかす心理みたいなものだろう。ただそれは一部のマニアの間での話。大部分の観客にとっては、他のホテル会場出演バンドに対するのと同様に、夜のライブまでの時間つぶしのために足を向けたに過ぎなかったようだ。

日本だったら真夏のような青い空と強い日差しの下で演奏が開始されると、Fantasmagoriaはほぼ一瞬のうちに客の心を掴んだ。ヴァイオリンがリードする派手な曲構成、流麗なメロディーライン、まだ粗いけど20歳代前半のメンバーによるエネルギッシュな演奏、フロントに藤本美樹を配したステージ。プログレファンにも、地元の音楽ファンにも、どちらにも好まれそうなキャラクターだとは予想したいたが、それを遙かに上回る受けかただった。曲は、デモに収録されている以前からのものと、3月のシルバーエレファントのライブで披露したソリッドなものとで構成されていた。デモではフュージョンっぽく聞こえた曲も、ライブではもっと重くなっていた。1時間のステージをFantasmagoriaは若さに任せて突っ走り、その間に客の反応はヒートアップする一方だった。終わってからが大変だった。楽屋がない野外会場なので、観客はいとも容易にバンドメンバーを掴まえられるのだ。サイン、握手、写真撮影、というお決まりのパターンなのだが、藤本を中心にバンドは一躍人気者になってしまい、一時間くらいは会場から出られなかった。

  1. Crusader
  2. 睡眠-Jin
  3. Aqueous
  4. Over the line
  5. Joanni
  6. Blue rice
  7. Shakespeare
  8. M.N.K
  9. 回廊
  10. Epic

「で、いつフルCDが出るんだ?早く聴きたいよ。バンドもいいけど、藤本美樹は英語で客とコミュニケーションする方法を知っている最初の日本人プログレミュージシャンだね。他のバンドは英単語を3つくらいしか知らないみたいだし。」MuseaのボスBernard。「Fanmtasmagoriaはブライテストホープ」主催者のAlfonso。その他賞賛多数。

演奏技術レベルが高いバンド、アンサンブルかまとまっているバンド、新しいアイデアを提示しているバンドはほかにもいた。でもFantasmagoriaには、あのライブ会場で他の誰よりも客を熱狂させる魅力が確かにあった。若いバンドの世界デビューとしては十分過ぎる出来映えだったことは間違いない。まだデモしかリリースしていないFantasmagoriaを抜擢してくれた、主催者のAlfonsoの英断に感謝。

■Fantasmagoria http://www.fantasmagoria.info

藤本美樹(Vln) 小谷竜一(Key) 尾崎淳平(Gt)吉田健太郎(B) 佐藤将一(Ds) 

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2005-03-20

BajaProg2005 初日

初日はヴァイオリンデイ? このエントリーを含むブックマーク

4日間のフェスティバルが始まりました。出演した5バンド中、4バンドがヴァイオリン/ヴィオラ奏者を擁しています。飛び道具を活発に使うプログレフェスらしいところです。アストゥーリアスとFantasmagoriaは、他のバンドの状況をみながら自分達のライブの構成を微調整して週末の本番に備えています。

ホテル会場

Jacques Menache

メキシコシティーの大編成バンド。ギター二人、キーボード二人、ベース、ドラム、ヴォーカル、サックス、フルートの九人組。曲はタイトなインスト部分と、女性ヴォーカリストが入るバラード調の部分とで構成されている。メキシコのバンドにありがちだけど、曲や構成はいいんだけど、演奏がいまいち。CDはムゼアで一枚リリースしている。

Il Castello di Atlante

Vinyl Magicで90年代にアルバムデビューしたイタリアのバンド。創造していたよりもずっと老けていて驚いた。1974年結成だそうだ。流麗なメロディーの曲をヴァイオリンを効果的に使った演奏が印象的。イタリアンロックとしては派手さと圧倒的な演奏力の欠如が、長年中堅どまりだった理由のようだ。

シアター会場

Ashtar

オープニングはブラジルのバンド。女性ヴォーカル、ヴァイオリン奏者を擁して、ちょっとメタルが入った派手なプログレ。緩急心得た曲構成でオープニングアクトとしてはいい選択なのでは。ルネッサンスやロレーナ・マッケニットのカヴァーも演奏したが、ちゃんとこのバンドとしてのアレンジがされていてよかった。CDは二枚リリースしていたと思う。

Taal

初日の話題を独占したのがフランスのTaal。ギター、ベース、ドラム、キーボードにヴィオラ、フルートが加わる。全員バカテクで観客を釘付けにした。プログレだけではなくて、メタル、ジャズ、ケルト的なフレーズが随所に飛び出して面白い。ライブはCDの三倍くらい印象がいい。もうちょっと色気があると大化けするかも。ムゼアなどから4作をリリースしている。

Caravan

オープニングはハードロックバンドみたいで驚いたが、プログレフェスに合わせて初期の名曲を演奏していたので楽しめた。日本公演よりも演奏は良かったけど、やっぱりリチャードのヴォイスが欲しい。

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