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2005年7月

2005-07-10

NEARfest2005 2日目

Knight Area

オランダのネオ・プログレバンド。ギターとキーボードが二人、ヴォーカリストを含む7人編成。ギタリストの一人とベーシストはChriffhangerのメンバーだった。まあなんというか音は普通だけど、メンバーは多すぎるのでは。予定通りホールの外に出る。CDはLaser's Edgeからリリースされている。

The Muffins

アメリカのベテランカンタベリーバンド。フレッド・フリスをゲストに迎えてアルバムを制作したこともある。幾多のメンバーチェンジの後、2000年に再編された現在のメンバーはサックス/キーボード、キーボード/サックス、ベース/キーボード、ドラム、ベースの4人で、全員がMuffinsには長く在籍したキャリアを持つ。ステージではさらに二人のゲストサックス奏者が加わった。渋いジャズロックを演奏した。カンタベリー色は薄い。演奏は巧かったけど、残念ながら曲はつまらなくて旧日の輝きはない。本日一番楽しみにしていたのだけど。もっとも観客は結構喜んでいた。

Parmenter

Disciplineのリーダー/ヴォーカリスト。ピエロのメイクでエレピとアコギの弾き語り。プログレじゃないけど、聴かせどころをこころえていて、とても楽しい。ソロ作として一枚リリースしている。

Kenso
KENSOが出演するから来場した、というファンも特にプログレマニアの中には多かった期待のバンドとして登場した。KENSOツアーで来ていた人が今回のフェスティバルのレベルの低さに驚いて、「みんなKENSOをみたらあんまり巧いのでびっくりしちゃうんじゃない」と言っていたけど、その通りだった。演奏力では文句なくベストアクト。プロを揃えているだけのことはある。ここまで低調だったフェスティバルの雰囲気が、KENSOが登場して一気に高まった。KENSOはフェスティバルを救ったように見えた。それほどよかったし、観客も大喜びだった。トリ以外は普通は受け付けないアンコールにも主催者が応じた。大受けの会場に清水義央は感激して泣いてしまった。いつもは冗長なMCが短かったので国内のライブよりよかったかもしれない。

Le Orme
イタリアのキーボードトリオだが、最近はツインキーボード編成。数年前に「ヘッドライナーじゃなきゃイヤ」と言ってごねて外された経緯がある。そのときは、代わりにGerardが出演した。けろっとして出てくるのはイタリア的だなあ。演奏の直前にやっているサウンドチェックに3時間もかけていた。このへんのやり口は、やりたい放題イタリア人対真面目な東部エスタブリッシュメントじゃ、まあ勝負にならないでしょう。最初の30分は新譜からの演奏でつまらなかったけど、残りの90分はUmo de Pezzaa, Contrappunti, Ferona eSoronaからの演奏で大満足。かつてよりタイトだけど相変わらずテクニカルとは言いがたいけどなんといっても暖かいメロディーを大事にした演奏をバックにAldoの頼りげのないヴォーカルが醸し出す雰囲気は最高。70年代の全盛期に活躍したキーボードプレーヤーであるトニーはもういないけど、演奏にはあまり影響はない。ということで、満場のスタンディング・オベーションでフェスティバルは大円段を迎えた。とりあえず、終りよければすべてよし、となった。

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2005-07-09

NEARfest2005 1日目

Wobbler
Wobblerはノルウェーの、ヴォーカル/木琴、フルートを含む六人組によるダークな色彩の新人プログレバンドで荘厳な感じがするので、ちょっと厳かに一日が始まる。アネクドテンなんかに近い感じで、メロトロンも多用する。雰囲気はいいんだけど、印象に残るメロディーはひとつもないので、オープニングアクトどまりかな。でもこういうバンドは、日本に絶対に来ないだろうから、B級プログレファンとしてはとっても楽しめる。CDweb販売のみのデモと、Laser's Edgeから一枚リリースしている。White Willowと親交があり、Wobblerから二人のメンバーがWhite Willowに参加している。

Frogg Cafe
アメリカの新人バンドで、トロンボーン、ヴァイオリン、ヴォーカルを含む7人編成。変拍子がザッパだったり、ヴォーカルコーラスがジェントルジャイアント的だったり、多様な楽器による音の厚みが楽しかったりはするものの、やはりメロディーは凡庸で、独りよがりな感じ。アメリカのバンドは、明るすぎる雰囲気と単調な展開が欠点だけど、このバンドもその例に漏れない。煩いので寝ることもできず、二曲聴いて表に出ると、ヨーロッパ趣味の仲間はほとんどロビーでたむろしていた。CDは自主レーベルから4枚リリース。

Steve Roach
環境ビデオをバックにひとりで積み上げたシンセを演奏。ジャーマン・エレクトロニクス的だけど、どこか乾いたアメリカ風。演奏は映像とよくマッチしていた。気持ちよく寝てしまった。CDは多数。

Present

本日最も期待していたベルギーのレコメンバンド。1998年にボンデージ・フルーツとヨーロッパツアーをして以来の再会となった。元Univers Zeroのロジェ・トリゴー率いる、サックス、チェロ、鉄管(!)を含む、8人組。独特の変拍子を多様した暗黒ロックは磨きがかかっているが、シンフォ・ファンの観客にはきついらしく100人くらいは途中退場した。クライマックスまでの盛り上げは迫力があり、鉄管を打ち鳴らすラスト曲は大受けだった。初期のような印象的なメロディーがあるといいのだけど。退場する人がいる一方、ラストは総立ちで感動的なフィナーレだったという客を選ぶ音楽であった。今回はアメリカツアー中。CDは6枚(1枚は2 in 1)リリースしている。初期作品にいい曲が多いけど、90年代に復帰後のCDも作品をリリースするたびにレベルアップしている。

IQ

本日のトリはIQ。イギリスのマリリオンと並び称されるネオ・プログレバンド。ヴォーカリストを含む5人組。照明やビデオなどの演出は凝っていてなかなか見せる。初期に在籍したヴォーカリストであるピーター・ニコラスが戻ってきていてなかなかいいけど、テクニカルな面ではみるべきところはなく、構成が単純で曲毎の違いが良くわからない。70年代ジェネシスに影響された初期の曲は好きなんだけど、現在は80年代ジェネシス的で趣味に合わない。ちょっと聴いて退散して体力を明日に温存しました。でも日本では想像がつかないくらい人気があり、大喝采を受けていました。

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2005-07-08

NEARfest2005 プレデー

金曜日のプレデーはProgressive Artsという別の団体の主催だが、実質的にはNEARfestの初日として捉えられている。同じ会場だしチケットもも同時に買えるし。従来はあまり人気のないバンドが出演していてパスしてしまうお客も多かったのだが、今回はプレデー始まって以来の大物であるPFMが登場した。多分、NEARfestのブッキングがほとんど終わってしまってからPFMからオファーがあって、そのためにプレデーに回したのではないかと思う。フェスティバル2日間より演奏時間が長くとれるので、フェスティバル全体のメインがPFMみたいにも見える。でもチケット代は50ドルで、10バンドで95ドル/二日間のメインイベントに比較して割高感があるのか、チケットは当日でも買えた。今回のPFMアメリカ公演はここだけなんだけどね。

Protto-Kaw
デビュー前のプレKANSASが、未発表レコーディングをCDリリースしてライブ活動もやっている。初期KANSASはアメリカンプログレではいいほうなので期待していたけど、単調でつまらなかった。でも観客には大受けでアメリカ人とは趣味が違うことを痛感。前座だと思っていたら対バンらしくアンコールも含めて95分も演奏したので飽きてしまった。

PFM

二年ぶりに見たPFMだけど、相変わらずの圧倒的なパフォーマンス。管楽器奏者はいないので、ベースのジェバスがちょっとだけリコーダーを吹く。キーボードのプレモリは病欠のため代打の人が来ていた。ドラムのチョッチョは相変わらず元気いっぱいに走り回りマイクを客に向けるけど、こういうの再編以来6回も見ていると飽きる。ムシーダのいぶし銀的なギターは何回聴いてもいいけどね。現メンバーのルチオ・ファブリのヴァイオリンは現在のパガーニより実はPFMにマッチしている。PFMは再編してしばらくは新曲を中心に演奏していたけどあまり受けなくて、2002年の来日を境にあきらめて70年代のプログレ曲によるライブに切り替えた。再編してから二枚目のスタジオアルバムは好きなのでもっと新曲を演奏してほしいけど、受けないんだろうなあ。かつてはアメリカでとても人気があったけど、1977のJet Lag期のツアー以来のアメリカ公演となった今回も、熱狂的な歓迎を受けていた。終わったのは真夜中前でした。

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2005-07-05

NEARfest雑感

seatingchart_zoellner_small NEARfestはマーケティンングっぽい。プログレマジョリティーであるシンフォはPFMとオルメでしっかり押さえて、レコメンのPresent、カンタベリーのMuffins、ポンプのIQやKnigth Area、アンビエントなSteve Roach、地元のヒーローMathew ParmenterとFrog Cafe、期待の新人Wobblerなど意識的にヴァラエティー豊かなバンドで構成している。バランス感覚に優れていて、たいていのプログレファンは満足できる。ただ、裏腹に主催者側の強烈な個性は感じられない。主催者のRobert LaDucaは、30歳代の大学教授でプログレファン。スムーズな運営、Roger Deanに依頼している見栄えのいいロゴ、毎年販売開始後すぐに売り切れになるチケットの話題性など、よくも悪くも東部エスタブリッシュ的な感覚を感じられる。不定期開催でいつのまにか立ち消えになった西海岸のProgFestに比べたらなんといっても毎年開催しているのは偉い。

1999年から開催されているNEARfestは、初年度が400人収容のホール、2000年から2001年が1000人収容のホール、2002年から2003年が2000人収容のホール、と規模を拡大してきたが、2004年からは再び1000人収容のホールにスケールダウンしている。2000人の観客は来場するのだが、コスト上昇分のほうが大きく赤字になるとのこと。出演バンドもCamel、Magma、Steve Haketteなどの大物がいなくなってしまって寂しい面はあるが、そうした大物は日本には来日するので見ることができるのに対して、初見の中堅以下のバンドを目の当たりにするの個人的には楽しい。

2005年のNEARfestは、フェスティバルが安定期に入ったことを示すように、無難なバンド選択、危なげない運営、など予定調和的に見えた。スケールダウンした昨年にもこれは同様だったが、昨年は無名のフィンランドのサイケ・プログレ・バンドHidria Spacefolkが大受けして、新鮮な驚きがあったし、Univers Zeroの招聘に成功していた。

NEARfest2006
日本のKBBの出演が決定した。

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NEARfestとは

zoellner_front 米国フィアデルフィア近郊で毎年初夏に開催されているNEARfesは今年で7回目になる。今年は、PFM、オルメ、IQなどをメインに開催される。現在のNEARfestの特徴は、バラエティーに富むバランスのとれた出演者達が、ニューヨークやワシントンなどが近くプログレ人口が多い東海岸のファンの前で演奏することだ。

NEARfestの歴代の出演者には、IQ、Anekdoten、Happy the Man、Il Balletto Di Bronzo、Par Lindh Project、Transatlantic、Deus Ex Machina、Porcupine Tree、Banco、Isildurs Bane、Nekter、Caravan、Steve Hackett、Strawbs、Univers Zero、Magma、Camel、Richard Pinas、Angragaldなどがいる。NEARfestの歴史などは日本語ページを見てください。アップデートができていないのだけど。

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NEARfest2005概要

header_near_pic14 夏の訪れと共に今年もNEARfestの季節がやってきた。

12バンドが出演してプログレ漬けの3日間を過ごす。今年のスケジュールは以下のとおり。

Friday, July 8th

  • opening act:  Proto-Kaw (U.S.A.)
  • headliner:  PFM (Italy)

Saturday, July 9th

  • 11:00 am-12:00 pm Wobbler (Norway)
    1:15 pm-2:30 pm Frogg Cafe (U.S.A.)
  • 2:45 pm-3:30 pm Steve Roach (U.S.A.)
    4:45 pm-6:15 pm Present  (Belgium)
    8:30 pm-10:30 pm IQ (U.K.)

Sunday, July 10th

  • 11:00 am-12:00 pm Knight Area   (The Netherland)
    1:15 pm-2:30 pm The Muffins  (U.S.A.)
    2:45 pm-3:15 pm Matthew Parmenter (U.S.A.)
    4:30 pm-6:10 pm Kenso (Japan)
    8:25 pm-10:25 pm Le Orme  (Italy)

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